医療法務


医療法務

当事務所では、医療法人や開業医の病院、診療所、薬局経営を支援しております。

医院においては、医療過誤の問題、患者との関係での説明、同意の問題、労働問題、個人情報保護規定絡みの問題、広告規制、不動産賃貸借など、様々な法的問題が存在します。

各項目の詳細については、右部の該当する項目をクリックして下さい。



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医療過誤


医療過誤が起きた場合、だれが責任を負うのでしょうか?

主治医、看護師が直接の不法行為の直接の相手方となります。上司、管理者、医院は使用者として使用者責任を負います。

医師は診断、治療にあたってどの程度の注意義務を負うのでしょうか?

裁判例は、注意義務の基準となるものは、診療当時の臨床医学の実践における医療水準である(最判S57・3・30等)、当該医療機関の性格、所在地域の医療環境の特性等を考慮し、知見が当該医療機関と類似の特性を備えた医療機関に相当程度普及している場合、特段の事情が存しない限り、右知見は当該医療機関にとっての医療水準である(最判H7・6・9)等示しております。具体的には、医学雑誌(教科書的なもの、購読者が多いものが中心)、医薬品の添付文書、厚生労働省の文書、法令・通達・ガイドラインなどが医療水準を構成するものと考えられます。

医療過誤に関する損害賠償請求はどのように損害額が算定されるのでしょうか?

①まず、財産的損害として、治療費、通院交通費、医療事故により働けなくなったことによる本来稼げたはずの給与が得られなくなったことによる損害(逸失利益)などが損害に含まれます。②次に、精神的損害が損害に含まれます。これについては、具体的な基準がありませんが、近年増額傾向にあることに注意する必要があります。また、医療過誤等においては全体的に高額である傾向があります。③一方で、患者の側にも損害拡大につき帰責事由がある場合、その損害拡大への寄与の割合に応じて損害額の減額が認められます。

医療過誤に備えて病院、診療所として特に書面で残しておいた方がよいものはありますか?

一つには、院内ガイドラインを作成し、これを院内で適用するようにされた方がよろしいです。その教育、監督過程も日誌のような形で継続して書面に残しておいた方がよいです。万が一医療過誤が起きた際に、そのときに書面化したしても、証拠力が弱く、信用性に乏しいと判断される可能性があります。

医療過誤が起きた場合、法律手続的にはどのような事態が想定されますか?

証拠保全手続がとられる可能性があります。これは、訴訟提起前に、事前の通知なく、裁判所職員がカルテ等のコピーをすべく医院にやってくる手続きです。この手続きにおいて、原本を持って行かれる場合に備えて予めコピーをとっておいた方がよいです。

医療過誤において鑑定が行われた場合、判決はこの鑑定通りのものとなりますか?

必ずしも裁判官は鑑定意見に拘束されず、社会常識などに照らして判断できます。他の法律分野でもいえることですが、実際に鑑定意見とは違う結論をとる判決も多いです。

説明義務


医師は治療の説明を誰に対してする必要がありますか?

原則として治療対象である患者本人となります。患者が未成年者の場合は親権者または後見人、患者が高齢者で後見人が選任されている場合は後見人、また、本人が拒否しておらず、やむをえない必要性がある場合は、家族ということになるかと思われます。

医師は治療をするにあたり、一般的にどの程度まで説明する必要がありますか?

病名、病状、実施予定の治療の内容、治療に付随する危険性、他に選択可能な治療方法があればその内容、利害得失、予後(最判H13・11・27、最判H17・9・8)とした判例があります。

未確立の治療法や予防的手術療法についても説明する義務がありますか?

未確立の治療法については、相当数の医療機関で実施され、積極的判断が示されており、本人が強い関心を有している場合には、その内容、実施医療機関を説明する義務があるとした判例(最判H13・11・27)、予防的手術療法については、保存的に経過を見る選択肢の利害得失についても説明する義務があるとした判例があります(最判H18・10・27)。

説明義務を負う段階はどの段階ですか?

基本的に診療過程全般といえますが、特に注意すべきは、検査前、治療前、治療途中、治療後、事故後の各時点でしょう。



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