会社法
会社を設立しようと考えているのですが、どのような形態がありますか?
株式会社、合名会社、合資会社、合同会社があります。なお、会社以外の組織形態として、組合、一般社団法人、公益社団法人等様々な形態の組織があります。
株式会社、合名会社、合資会社、合同会社にはどのような違いがありますか?
株式会社、合同会社においては、株主、社員(社員とは、従業員のことではなく、会社の持ち分を持っている人で、株主のようなものです。)は、会社に財産がなくなっても、責任を個人的に債権者から追及されることが原則としてないのに対し、合名会社の社員、合資会社の無限責任社員は、個人的にも会社の債権者に対して責任を負います。なお、合同会社は共同研究事業などのために設立されることも多いのですが、会社の制度や利益の分配を比較的自由に取り決めてよいところに特徴があります。
合同会社はアメリカのLLCとは違うのですか?
アメリカのLLCはパススルー課税(法人ではなく個人に直接課税されます。)が採用されているのに対し、日本の会社法上の合同会社では、パススルー課税は採用されていません。ただし、有限責任事業組合の組織形態を選んだ場合、アメリカのLLPと同様にパススルー課税が適用されます。なお、有限責任事業組合の組織形態を選択した場合、パススルー課税が適用される他、通常の組合と異なり、各組合員は、個人的に組合債権者に対して責任を負いません。
株式総会の決議において、通常の過半数を超える普通決議の要件より加重された決議が必要な場合は、どのような場合がありますか?
まず、通常の過半数決議を超える議決要件が定款に規定されている場合には、それによります。
その他、法律上、通常の過半数決議を超える議決要件が要求されているものは数多くありますが、主なものについてみてみますと、まず、出席株主の2/3以上の賛成を要する特別決議が要求されているものとして、監査役の解任、累積投票により選任された取締役の解任、責任の一部免除、事業の重要な一部の譲渡、事業の全部の譲受け、募集事項の決定、株式会社又は指定買取人による買取り、株式の取得に関する事項の決定、全部取得条項付種類株式の取得に関する決定、売渡しの請求の決定、株式の併合、資本金の額の減少、会社の解散、組織変更、定款の変更などがあげられます。
さらに、これを超える議決要件が要求されている特殊決議を要する事項として、特定の内容の定款変更、特定の場合の組織変更等があります。
そして、株主全員の同意を要する事項として、責任の全部免除、特定の内容の定款変更、特定の場合の組織変更等があります。
なお、役員の選任、解任に関しては、特殊普通決議が要求されます。
株式総会の決議に法的に問題があった場合、この決議の有効性を争うにはどうすればいいですか?
①決議が存在しなかった、または、決議が存在しなかったといえるほどに決議に問題があった、と考えられる場合は、決議不存在の訴え、②決議の内容が法的に違反していたと考えられる場合は、決議無効確認の訴え、③決議の内容に定款違反があった、招集手続または決議方法に定款または法令違反があった、特別利害関係人が決議に参加したことにより著しく不当な決議がなされた、と考えられる場合は、決議取消の訴えを、それぞれ提起することが考えられます。
ただし、決議取消の訴えは、決議の日から3か月の時効にかかること、また、違反事実が重大でなく、かつ、決議の結果に影響を及ぼさないものである場合には、裁判所による訴えの裁量棄却が認められていることに注意する必要があります。
独占禁止法
独占禁止法で規定されている不公正な取引方法にはどのようなものがありますか?
大きく分けて、第一に、直接の取引の相手方に対する行為で、取引の相手方の利益を害し、自由な競争が制限されるおそれがあるような行為として、共同の取引拒絶、その他の取引拒絶、差別対価、取引条件等の差別取扱い、事業者団体における差別取扱い等、抱き合わせ販売等、取引の相手方の役員選任への不当干渉などがあります。
第二に、直接の取引の相手方に対する行為で、取引の相手方の利益を害するといえないまでも、自由な競争が制限されるおそれがあるような行為として、再販売価格拘束、排他条件付取引、拘束条件付取引などがあります。
第三に、直接の取引の相手方以外のものに対する行為で、自由な競争が制限されるおそれがあるような行為として、不当廉売、不当高価購入、ぎまん的顧客誘引、不当な利益による顧客誘引、競争者に対する取引妨害、競争会社に対する内部干渉などがあります。
不公正な取引方法に該当するか否かが、関係法令に照らしても微妙な場合、どのように判断するべきですか?
当該行為が、競争相手との間で、自由・公正な競争を促進することになるのか、または、害することになるのか、消費者にとって最終的に利益になるのか、または、不利益になるのか、という点が重要かと考えます。
不正競争防止法
不正競争防止法とは、どのような行為を禁止している法律ですか?
主に、①他人の商品や営業の表示として広く知られているものと類似のものを使用等して混同させる行為、②他人の著名な商品や営業の表示と類似のものを使用等する行為、③模倣商品を譲渡等する行為、④営業秘密について、不正取得、不正使用、不正開示等する行為、⑤
コンテンツのコピー防止機能の解除装置や解除プログラムを譲渡等する行為、⑥不正に他人の商品、サービスに類似するドメインを取得等する行為、⑦商品、サービスの原産地、品質、数量について誤認させる表示等をする行為、⑧競争相手の業務上の信用を毀損する虚偽の事実を告知、流布する行為を禁止しております。
営業秘密とは、どのような情報がこれに該当するのですか?
「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう、とされております。秘密漏えい、開示などの行為があるが、不正競争防止法に違反するとまでいえないケースで、民法に基づく一般的な損害賠償請求の訴訟を起こす場合も、実務上、よく、この不正競争防止法の「営業秘密」の要件に該当するか否かが考慮されています。
不正競争防止法に違反した場合の効果にはどのようなものがあるのですか?
民事上の効果として、差止請求権、損害賠償権(損害の額の推定や、損害立証が極めて困難な場合の相当な損害額の認定が認められています。)、信用回復の措置が認められています。
刑事上の効果として、懲役刑、罰金刑が認められています。特に、刑事罰については、法改正により幾度も範囲及び程度が拡大されてきており、しかも、実務上の立件事案も増えているように思われるため、注意が必要です。
景品表示法
景品表示法とは、どのようなことを定めている法律ですか?
主に、①商品やサービス購入を誘引するために消費者に経済的利益を提供する場合の経済的利益の総額や最高限度額等を制限するとともに、②商品やサービスの品質、価格等について、実際のものより著しく優良である、または、事実でないのに同業者のものよりも著しく有利である、と広告などにおいて表示することを禁止する法律です。
製造物責任法
製造物責任法とは、どのようなことを定めている法律ですか?
製造物について、製造、加工、輸入、氏名等の表示をした者は、その製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは損害賠償責任を負うものとされています。
ただし、損害がその製造物自体についてしか生じていない場合には製造物責任法の適用はありません。
また、①製造物を引き渡した時における技術的な知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかった場合や、②その製造物がその他の製造物の部品として使用された場合において、その欠陥がその他の製造物の製造業者が行った設計上の指示に従ったことにより生じたものであって、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がない場合には、免責されます。
欠陥はどのように判断されるのですか?
欠陥は、設計上、製造上、警告上の欠陥に分類されます。欠陥があるか否かは、その物が通常有すべき安全性を欠くか否かにより判断されます。
国外での製品の販売の際に、製造物責任法との関係で注意すべき点はありますか?
製造物責任法の適用範囲に違いがあるので注意する必要があります。例えば、アメリカでは、一般的に、卸売業者、小売業者も責任を負います。また、裁判所の管轄が外国に認められる可能性が十分にあります。