債権回収
長引く経済不況により、債務の支払いができないケースが増加しています。債権回収の方法はケースバイケースですが、どれだけ多く債務者自身、関係者、債務者の財産等の情報を集められるか、また、債権者が複数いて競合する場合、競り勝つことができるかが重要になります。
主な法的手続きとしては、送達証明付き内容証明郵便による通知書の送付、仮差押え等の保全手続、訴訟の提起、差押え等の強制執行手続というものがあります。
なお、事前の契約の段階で、いかに債権回収を意識した契約書が作れるか、契約交渉ができるかが後の債権回収の確実性において重要なキーポイントになります。
契約段階
後々、取引相手が代金を支払わない可能性があるのですが、このようなときに何か対処法はありますか?
一般論としては、まず、契約をする段階で、取引相手に関連する商業登記簿、住民票、銀行口座、不動産・自動車・株式の所有の有無及び内容、また、可能であれば会計書類を確認されたほうがよいです。
また、可能であれば、抵当権、質権、連帯保証人を設定されたほうがよいです。
契約を公正証書にしておくと後で訴訟を起こさなくても代金の支払いについて強制執行できますし、証拠としても強い証明力が見込めます。
その他、取引相手の取引先や関連会社の情報も取得しておくことをお勧めします。
不履行段階
取引相手が支払期限を過ぎても代金を支払わないのですが、どうすればよいですか?
送達証明付き内容証明郵便による通知書の送付、支払督促、調停の申し立て、保全命令の申し立て、訴訟提起、強制執行の申し立てなどが考えられます。いずれの手段をとるにしても、取引相手の財産を把握できるかどうかが重要になります。その意味でも、契約段階での調査が重要です。
時効管理
時効の期間で注意する点はありますか?
2020年4月に行われた民法改正により、時効期間は大きく変更されました。
一般債権は、権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間のうち短い方となりました。
不法行為による損害賠償の請求権は、損害及び加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年間のうち短い方となりました。
ただし、人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権については、債務不履行の場合も不法行為の場合も、知ったときから5年間、権利を行使することができるときまたは不法行為のときから20年間のうち短い方となりました。
なお、取消権は、追認をすることができる時から5年間、行為の時から20年のうち短い方です。
確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利は10年です。
債権または所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年です。
民法以外の法律については、製造物責任法上の損害賠償請求権は、損害及び賠償義務者を知った時から3年、製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年のうち短い方です。
労働基準法上の賃金請求権は、行使することができる時から5年です。
労働基準法上の災害補償請求権や有給休暇取得権は、行使することができる時から2年です。