消費者法


消費者法

近年、日本においても、消費者契約法が消費者保護の基本法として制定されると共に、特定商取引法、割賦販売法、金融商品取引法が事業者側に不利に改正され、判例も消費者保護の色合いが強くなっていくなど、アメリカ法に近い、消費者保護の傾向が年々強まっています。

このような状況の中で、契約書等必要な書面の作成や、説明義務の徹底やその証拠化の要請は年々高まっています。

また、この法分野では、これまでは合法的に行えていたものが、違法とされたり、または、事業者に不利に解釈されることになることも多くなっており、法令改正や判例の動向に常に注意を払っておくことが必要です。特に、顧客を多く抱える場合、集団訴訟となると、一気に会社の経営が危うくなるケースが散見されるため、細心の注意が必要です。

当事務所では、これまで数多く、契約書、約款や同意書面の作成や、消費者法関連訴訟を取り扱ってきております。不安のある事業者は是非御相談下さい。



窪み

消費者契約法


消費者契約法とはどのようなことを定めているのですか?

消費者契約法は事業者と消費者との間の関係について定めた法律です。
重要な内容としては、第一に、事業者が重要事項について事実と異なることを告げた場合、商品などについて将来どうなるか分からない事項であるにもかかわらず断定的な判断を告げた場合、重要事項につき利益になることを告げながら不利になることを隠した場合で、消費者がこういったことを信頼して契約した場合に、消費者は契約を取り消すことができます。
第二に、消費者が、帰って下さい、もう帰ります、などと事業者に告げたのにもかかわらず、これを事業者が妨害したことにより、やむなく契約を結んだ場合、消費者は契約を取り消すことができます。
第三に、事業者の責任を全部免除する条項、事業者に重過失があっても事業者の責任を一部でも免除する条項、契約を解除した場合に通常事業者に生じる損害を超える損害賠償義務を消費者に負わせている場合の差額部分、消費者の支払いが遅れた場合に年利14.6%を超える遅延損害金の支払い義務を負わせている場合の超過部分、信義則に反するほど消費者に不利な内容の条項を無効としています。

消費者契約法に基づく取消権の主張に関して注意すべき問題はありますか?

6ヵ月の時効にかかるので、この点は特に注意が必要です。

特定商取引法


特定商取引法とはどのような取引に適用されるのですか?

特定商取引法は事業者と消費者との間の取引について定めた法律です。
特定商取引法の適用対象となる取引は、①訪問販売(キャッチ行為による事業所外での販売を含みます。)、②通信販売(インターネット上の販売を含みます。)、③電話勧誘販売、④連鎖販売取引(マルチ商法を含みます。)、⑤特定継続的役務提供(エステティックサロン、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室を含みます。)、⑥業務提供誘引販売取引(内職を提供する代わりに商品を購入させる場合を含みます。)、⑦訪問購入になります。

特定商取引法はどのように行為を規制しているのですか?

主に、①勧誘の際、事業者名・勧誘目的等を明示すること、②勧誘の際、虚偽の説明をすること、重要事項を故意に告げないこと、消費者を威迫することの禁止、③広告をする際、重要事項を表示するとともに、虚偽・誇大な広告をしないこと、④契約締結の際、重要事項を記載した書面を交付することを定めています。

特定商取引法に違反した場合、どのような効果があるのですか?

まず、民事上の効果として、クーリング・オフ、不実告知や重要事項の故意の不告知等の違法行為が行われた際の契約の取消権などを認めています。その他、業務改善、業務停止命令といった行政処分、刑罰があります。

クーリング・オフとは、どのような権利ですか?

クーリング・オフとは、法律で定められた書面を受け取ってから、訪問販売・電話勧誘販売・特定継続的役務提供・訪問購入の場合8日間、連鎖販売取引・業務提供誘引販売取引の場合20日間、消費者が契約を無条件に解約できる権利です。

クーリング・オフの行使に関して注意する点はありますか?

書面で行うこと、通信販売にはクーリング・オフは適用されないこと、期間制限に注意することなどです。また、化粧品や健康食品などの消耗品を使ってしまった場合や、3000円未満の現金取引の場合には、クーリング・オフの行使ができません。

クーリング・オフ期間を経過した場合、もはやクーリング・オフなどにより契約を取り消すことはできなくなるのですか?

事業者が、クーリング・オフに関する事項につき事実と違うことを告げたり、威迫したりすることによって、消費者が誤認・困惑してクーリング・オフを行使しなかった場合には、期間経過後も消費者はクーリング・オフを行使できます。
また、法律で定められた事項が書面に書かれていなかった場合、法律で定められた書面を受け取るまでクーリング・オフを行使できることになる可能性があります。
その他、訪問販売の場合、通常必要とされる分量を著しく超える商品やサービスの売買契約等の申込みの撤回が1年以内に関して認められております。
また、連鎖販売の場合、入会後1年以内で、かつ、一定の要件を満たせば契約の解除が認められています。
さらに、不実告知や重要事項の故意の不告知等の違法行為が行われた場合、6か月間の契約の取消権が別途認められています。
その他、消費者契約法による救済が認められる可能性もあります。

他に特定商取引法が規定している重要なことはありますか?

例えば、消費者が中途解約するなどして契約が終了した場合に、事業者が消費者に対して請求できる損害賠償額に上限を設定する規定、事業者から消費者に対して代金の返還など原状回復を拒むのを禁止する規定、また、未承諾者に対して電子メール広告を提供することを禁止する規定などを設けています。

割賦販売法


割賦販売法が改正されたと聞きましたが、改正後の割賦販売法で重要な点はどのような点ですか?

主に、個別クレジット業者に、特定商取引法の対象となる取引を行う加盟店の勧誘行為について、調査する義務を課した点、消費者が個別クレジット契約をもクーリング・オフでき、既払金の返還請求もできるようになった点、消費者が個別クレジット業者に対して個別クレジット契約をクーリング・オフすると、販売契約も基本的にクーリング・オフされたものとして取り扱われるようになった点、訪問販売の場合の、通常必要とされる分量を著しく超える商品やサービスの売買契約等の申込みの撤回が個別クレジット契約にも及ぶこと、事業者がクーリング・オフに関する事項につき事実と違うことを告げたり、威迫したりすることによって、消費者が誤認・困惑してクーリング・オフを行使しなかった場合の期間経過後のクーリング・オフが個別クレジット契約にも及ぶこと、不実告知や重要事項の故意の不告知等の違法行為が行われた場合の契約の取消権が個別クレジット契約にも及ぶことなどが重要な点です。



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